お大師さまと不二一体の生き仏
世界にあまたの霊山ある中で、生き仏様を御本尊としてお祀りする霊山は、世界広しといえども、紀州高野山をおいて他にはありません。紀州高野山は、平安の昔より悩み苦しむ人々と共に生き続けておられる弘法大師様(お大師様)御入定の聖地であり、生き仏様の御霊光に満ちあふれる世界に二つとなき霊山です。
御入定(ごにゅうじょう)とは、肉身なき後も、衆生救済の一念をこの世に留め、悩み苦しむ人々の救世主として生き続けることですが、そのお大師様より「入定せよ」との示現をいただかれ、平成二年四月十三日、御年七十一歳を以て御入定され、お大師様と不二一体の生き仏と成られたお方が、当山御本尊の普門法舟大菩薩様(ふもんほうしゅうだいぼさつさま)です。
高野山(たかのやま)法徳寺は、お大師様と不二一体の生き仏と成られた普門法舟大菩薩様(菩薩様)御入定の聖地であり、仏法を以て苦しむ人々の魂を救済する衆生救済の根本道場であります。
夢殿の秘仏ご本尊
菩薩様は、御入定七年前の昭和58年5月24日未明、突然激しい頭痛に見舞われ、滝のような汗を流す日々が何日も続きました。床に就くようになってから三十七日目の6月29日未明、菩薩様は、霊夢にて、全身からほとばしる灼熱の汗を流しながら、升の中に凛とたたずむお地蔵様を御感得されました。
升よりあふれた御汗が十方普く光り輝く光景は言葉に尽くし難く、神々しいばかりでしたが、不思議にも、その霊夢をご覧になってから菩薩様のお体は快方に向かい、原因の分からぬまま床に就かれてから数えて四十九日目の7月11日未明、ようやく床を離れる事が出来ました。
この時、ご感得なさったお地蔵様(身代り升地蔵菩薩様)が、苦しむ人々を救済する為に代受苦行をしておられる法舟菩薩様ご自身のお姿ですが、このような経緯から、高野山法徳寺では、菩薩様を、お大師様と不二一体の生き仏様と仰ぎ、代受苦行の御姿である身代り升地蔵菩薩様を、御廟所「夢殿」の秘仏御本尊様としてお祀り申し上げているのであります。