父子遍路の哀歌

聖歌「父子遍路の哀歌(うた)」は、菩薩様が四国霊場を廻っておられる時に出会われた父子二人連れの遍路を偲んで作られた聖歌です。可愛い幼子を残して先立った亡き妻の救いを一心に願いながら、「母恋し」と云って泣くわが子に導かれ、四国霊場を廻る父と子の姿は、余りにも切なく、涙を誘わずにはいられません。

作詞・作曲 普門法舟

1、菊の花咲く神無月 亡母の菩提を弔いに
  四国札所をめぐりゆく 父子遍路のものがたり
2、背中に負いたる笈摺に 同行二人の筆のあと
  可愛い小さな手を合わせ 祈る子供のいじらしさ
3、今日で幾山越えたやら 父子遍路は道をゆく
  難行苦行のその中で 亡母の冥福をただ祈る
4、亡母を恋しと泣く涙 頬を伝うて笈摺を
  濡らす遍路の父と子が 両手合わせて遍照尊
5、上り下りの道すがら 受けた情けが身にしみる
  人に真心施せと 教えられます御接待
6、今日も暮れ行く四国路に 父子二人のうしろ影
  沈む夕陽に手を合わせ 今日も一日ありがとう
7、可愛いわが子に手を引かれ 越えてきました苦難坂
  今日はいよいよ打ち納め うれし涙が頬つたう
8、重き罪業をも大師さま 救い給える御慈悲の
  足跡を伝える結願寺 南無や大悲の遍照尊
  南無や大悲の遍照尊 南無や大悲の遍照尊