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世界同時不況に思う(1)



疫病神か福の神か


アメリカのサブプライムローンに端を発した金融危機によって、百年に一度と言われる未曾有の大不況の嵐がいま全世界を包み込み、苦境の真っ只中に喘ぐ人々の声が巷間に満ちています。

わが国においても例外ではなく、中小零細企業はおろか、多国籍大企業までもが膨大な赤字を計上して倒産の危機に瀕し、派遣労働者のみならず、正規労働者までもが雇用調整の波に飲み込まれようとしています。

国や地方自治体も、過去に無い大幅な税収不足に見舞われ、青息吐息の状態にあります。

今年に入ってからも、景気は一向に上向く気配を見せず、深刻さはむしろ加速度的に増大していると言っていいでしょう。

大量の失業者が巷にあふれ、路頭に迷っている姿を見ていると、今回の金融危機と大不況の嵐がいかに凄まじいものであるかが分りますが、それだけに、今回の金融危機と大不況を、私達に不幸をもたらす疫病神のように感じられる方も少なくないのではないかと思います。

しかし、物事には必ず表と裏の両面があり、表裏一体をなしています。大切な事は、そのどちら側を見るかであります。

表側を見れば、今回の大不況は、人類を不幸のどん底に陥れる疫病神としか映りませんが、裏側を見れば、人類に幸福をもたらす福の神の顔が見えてくる筈です。

つまり、今回の大不況を、天地神仏が人類に覚醒を促す為に与え給うた慈悲の鞭であると受け止める事が大切ではないかと思うのです。

しかし、舞台裏に隠れている福の神を表舞台に呼び出せるか否かは、今回の大不況の意味をどこまで深く悟れるか、そしてその悟りをこれからの生き方にどう生かしていけるかにかかっています。


好景気、不景気の正体


私達は普段何気なしに、好景気、不景気という言葉を使っていますが、そもそもその実体は何でしょうか。

好景気と聞けば、私達に利益をもたらす福の神と映り、不景気と聞けば、不利益をもたらす疫病神のように映りますが、実は私達が贅沢をするようになったか、無駄をなくして節約をするようになったかを反映しているのが景気なのです。

つまり、好景気とは、人々が新しい物を次々と買っては大量に消費し、古い物をどんどん捨てている社会の姿であり、不景気とは、人々が欲しいものを我慢するようになり、新しい物を買わなくなった社会の姿なのです。

疫病神のように恐れられる不景気とは、言い換えれば、現在使っているもの、有るもので足りる事に気付いた世の中であり、好景気とは、社会全体が贅沢になり、大量消費、大量投棄を行っている世の有様に他ならないのです。

自動車が売れなくなって膨大な赤字を計上しているアメリカのビッグ3は、倒産の危機に瀕していますし、わが国の大手自動車メーカーでさえ、四苦八苦の状態にありますが、それは、いままでお金に余裕があって、まだ十分乗れるのに買い換えていた車を、少し我慢して買い換えるのを先に延ばした結果であって、人々が節約しようという気持ちを持ち始めた結果なのです。


ねずみ講式の文明


何故、社会が贅沢にならなければ景気がよくならないのかと言えば、私達が生きている今の文明が、贅沢を奨励し、大量消費、大量投棄によって成り立っている文明だからであります。譬えれば、今の文明は、ねずみ講式の文明と言ってもいいでしょう。

ねずみ講というのは、新規会員がどんどん増えている内は破綻しません。新規会員から入ってくるお金を、他の会員に回していくからです。

しかし、いつまでも新規会員が増えていく筈がありませんから、やがて、新規会員が頭打ちになる時が来ます。そうすると、他の会員に回すお金がなくなり、一夜の内に破綻するのです。

ねずみ講というのは、仕組みそのものが、最初から破綻するようになっているのですが、それでも騙される人が一向になくならないのは、「必ず儲かります」という甘い文句に騙されるからです。

譬えは悪いかも知れませんが、贅沢を奨励して、大量消費、大量投棄によって成り立っている今の文明も、まさにねずみ講と同じなのです。物を大量に消費し、どんどん使い捨てていかなければ、好景気を維持していけないからです。

大不況が来る前は、好景気が続いていたのですが、それは、人々が次々と物を買っては、大量に消費し、大量に投棄していたからです。

しかし、いつまでも、大量消費が続く筈がなく、文明の仕組みそのものは、ねずみ講と同じですから、必ず破綻する時が来ます。日本中がバブルに踊ったのもそうですし、今回の大不況もまさにその好例です。

大不況の直接的な引き金になったのは、アメリカのサブプライムローンの焦げ付きですが、元々今の文明の仕組みそのものが、ねずみ講のような仕組みになっていますから、サブプライムローン問題がなくても、遅かれ早かれ、破綻する運命にあったのです。

ですから、今回の大不況は、今の文明が、贅沢による大量消費、大量投棄に支えられている以上、避ける事の出来ない宿命であり、当然の結果と言えましょう。

先日或る新聞に、今の金融のあり方を抜本的に変えなければ、これからも同じような事が起こるというような記事が載っていましたが、変えなければならないのは、金融の有り方ではなく、贅沢を奨励して大量消費、大量投棄を続けなければ繁栄を維持していけない今の文明の有り方そのものではないでしょうか。

最初に、「今回の大不況は、贅沢による大量消費、大量投棄に支えられている今の文明が、根本的に間違っている事を教える為の天地の慈悲の鞭です」と言ったのは、その為です。


大自然の摂理に帰る


では私達はこれからどうすればいいのでしょうか。

私は、原点に帰る以外に道はないと思います。

原点に帰るとは、この世に生きる限り、私達がどうしても従わなければならない大自然の摂理に帰るという事です。

仏教の教えの中に、「少欲知足」という言葉がありますが、今の文明はこの「少欲知足」に逆行する文明ではないかと思います。

つまり、「足りる事を知る文明」ではなく、有っても有ってもまだ欲しい、作っても作ってもまだ足りないという「足りる事を知らない文明」であり、大自然の摂理に逆らっている文明なのです。

私達を毒する三つの心「貪欲(むさぼり)、瞋恚(いかり)、愚痴(むち)」を三毒煩悩と言いますが、今の文明は、この「貪瞋痴」に支えられた文明と言ってもいいのではないでしょうか。


貪りの文明がもたらした地球温暖化


今回の世界大不況は、有っても有ってもまだ足りないと、飽くなき欲望の追求に奔走してきた貪りの文明に対する大自然の厳しい慈悲の鞭と言えましょうが、その付けは、すでに地球温暖化という形で人類に跳ね返ってきています。

世界各地で、地球温暖化による深刻な影響が出始めている事は、すでに周知の事実です。北極圏の氷は、予想をはるかに超えるスピードで溶け始め、そこに住む生き物は絶滅の危機に瀕しています。

北極圏の氷が無くなるというのは、ここ数百万年間には無かった異常事態で、日本の国土の三倍に相当する面積(百三十万平方キロメートル)の氷がすでに溶けて消失しています。

数百万年以上も溶けなかった氷が、僅か十年余りの間に、三分の一にまで減ったのですから、その異常さが分かりますが、今の状態が進めば、人類存亡の危機に直面すると言っても、過言ではないでしょう。

しかも、北極圏の氷は太陽光線を反射して地球を冷やすという大切な働きをしており、氷が少なくなると地球はより多くの太陽光線を吸収するため海水温が上昇し、地球温暖化を一層加速させる恐れがあります。

更に氷解による海水面の上昇は、太平洋の島々を水没の危機に陥れ、そこに住む住民の安全をも脅かしています。

また海水温の上昇に伴う海流の変化によって、魚介類の生態系が大きく変わり、漁獲量の激減という深刻な影響をもたらしています。

最近、世界各地で頻発するようになった異常気象、特に超大型の台風、ハリケーンの相次ぐ発生による甚大な被害、或いは熱波による森林火災の増加、高波や大洪水、大地震による被害など、かつて経験した事のない天変地異も、地球温暖化と無関係ではありません。

これから地球温暖化の悪影響が更に拡大していく事は間違いなく、人類が直面する危機は想像を絶しますが、因をたどれば、今の文明が大量消費、大量投棄を続けてきた貪欲の付けが回ってきた結果なのです。

今回の大不況も、贅沢による大量消費、大量投棄をしなければ、景気を維持出来ない貪りの文明が招いた当然の結果であり、大自然の摂理に逆らっている何よりの証と言えましょう。

無駄を無くし、贅沢を離れ、足りる心を知り、大自然の摂理に従って生きる事の大切さに目覚めなければ、人類の未来も世界の平和もあり得ないと言っても過言ではありません。


質素倹約を旨とすべし


無駄を無くし、足りる心を知って贅沢を離れ、質素倹約を旨として生きる事がいかに大切であるかは、様々な改革を成し遂げた歴史上の人物を見れば明らかです。

質素倹約と聞けば、多くの皆様はすぐに徳川家康や徳川吉宗の名前を連想されると思いますが、筆頭に挙げられるのは、やはり何と言ってもアメリカのケネディ大統領が「最も尊敬する日本人」として挙げた事で一躍有名になった米沢藩の第九代藩主、上杉鷹山(ようざん)ではないでしょうか。

鷹山が治めた米沢藩の初代藩主は、現在NHKテレビで放映されている大河ドラマ「天地人」の主人公、直江兼続が仕えた戦国武将、上杉景勝であります。

一代で越後三百万石を築き上げた上杉謙信の死後、その養子景勝は、豊臣秀吉によって、会津若松百二十万石へ領土換えさせられ、その時一緒に貰い受けた米沢三十万石を、家臣の直江兼続に治めさせますが、秀吉の死後、関が原の戦いが起こり、石田三成率いる西軍に味方した上杉軍は、会津百二十万石から米沢三十万石に減封させられてしまいます。

米沢藩の初代藩主となった景勝は、直江兼続と共に、僅か十分の一となった所領を整備し、藩の体制を整えますが、三代目藩主が跡継ぎを定める前に急死した為、お家断絶の危機に直面し、忠臣蔵で有名な吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしなか)の子を養子に迎えて何とか断絶は免れるものの、所領は三十万石から更に半分の十五万石にまで削られて財政は破綻寸前に陥り、米沢藩存亡の危機に直面します。

その上杉家に第九代目藩主として迎えられたのが、上杉治憲、後の上杉鷹山ですが、僅か十七歳で藩主となった鷹山は、儒教の精神を取り入れて、前代未聞とも言える大改革を断行するのであります。

特に質素倹約を徹底的に指導し、自らも一汁一菜を実践し、衣類等も質素にして経費の削減に努める一方、自ら鍬を手に持って農民たちに開墾を奨励し、養蚕や工芸品などの発展にも力を注いで、殖産興業を推進し、米沢藩を存亡の危機から救うのであります。

当初は格式ばかりを重んじて、鷹山に反対する者もいましたが、反対する藩士達を不撓不屈の精神で説き伏せ、果敢に改革を成し遂げた鷹山こそ、まさしく大自然の摂理に適った感謝と知足の精神によって米沢藩存亡の危機を救った立役者と言えましょう。

合掌

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上杉鷹山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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