桜紋の扉―自殺防止への取り組み、納骨堂「帰郷庵」へのご納骨、供養の意義などについてご紹介します。
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心安らかに生きる為に(1)



今も変わらぬ四苦八苦の人生


厚生労働省が発表した平成28年度の人口動態統計によれば、日本人の平均寿命は、男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、男女とも過去最高を更新し、国別では、香港に次いで世界第二位の長寿国となっています。

また平成29年9月15日(老人の日)現在、百歳以上の高齢者が全国で6万7824人を数え、この数字も、四十七年間連続して増え続けています。

平成29年度中に百歳になる人は、過去最多の3万2097人と見られ、今や人生は八十年時代から、百年時代に移行しつつあると言っても過言ではないでしょう。

そんな長寿社会に生きる私たちですが、何年寿命が延びようと変わらないことが二つあります。

一つ目は、お釈迦様が説かれた四苦八苦の人生が、今も私たちの目の前に厳然と立ちはだかっているという事実です。

四苦八苦とは、生老病死(しょうろうびょうし)の四苦に、愛別離苦(あいべつりく・愛する人と別れなければならない苦しみ)、怨憎会苦(おんぞうえく・会いたくない人と会わなければならない苦しみ)、求不得苦(ぐふとっく・求めても思うように得られない苦しみ)、五陰盛苦(ごおんじょうく・様々な欲望に縛られて生きなければならない苦しみ)の四苦を加えたものですが、医学が目覚ましい進歩を遂げ、かつて不可能と言われていた治療が可能となり、私たちの寿命が飛躍的に延びたとしても、四苦八苦の人生に翻弄されている人間の在り方そのものは、何も変わっていないのです。

病院へ行けば、様々な病いに苦しむ大勢の人々が長蛇の列を作っています。また逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いなど、高齢者の運転ミスによる交通事故も年々増加しています。

更に認知症によって引き起こされる様々な問題、介護に携わる人材不足や介護士による高齢者虐待の問題、老々介護にまつわる問題など、超高齢化社会をむかえて避ける事の出来ない難問が、次々と噴出してきています。

目に見える現象界だけを見れば、お釈迦様の時代には想像もできなかった夢のような時代が到来しているにも拘らず、四苦八苦に翻弄されている人間の在り方そのものは、お釈迦様の時代と何も変わっていないのが現実なのです。

それどころか、日々の暮らしが豊かになった分、その反動で、心にのしかかる四苦八苦の重圧は、益々大きくなっていると言っていいでしょう。

寿命が何年延びようと変わらない二つ目は、私たちが生きられるのは、今という時しかないという事実です。

明日も明後日も、一年後も十年後も間違いなくやってきますが、過ぎ去った過去は無論のこと、まだ来ていない未来を生きることも出来ません。

私たちが生きられるのは、明日になっても明日の今、明後日になっても明後日の今だけです。一年後になっても十年後になっても、一年後、十年後の今しか生きられないのです

その今という時の流れの中で、様々な問題に悩み、苦しみ、四苦八苦に翻弄されながら生きているのが今の私たちですが、どうすれば、このような状況を変え、四苦八苦に翻弄されない確固たる人生を築くことが出来るでしょうか?


自己の正体を知る


その為には、まず自己の正体(自分の本当の姿)を知らなければなりません。

お大師様が、『秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)』の中で、
  生まれ生まれ生まれ生まれて
    生のはじめに暗く
  死に死に死に死んで
    死の終わりに暗し

 と説いておられるように、私たちは、遙かなる永遠の昔より、様々な生き物に姿かたちを変えながら、流転生死を繰り返してきました。

しかし、この世に生まれる前、私たちは何処に居たのか、何処から来て、何処へ帰って行くのか、自分の本当の故郷は何処なのか、自分は一体何者なのか、誰もその正体を知りません。

自己の正体を知らぬまま、争い、憎しみ、傷つけ合い、かけがえのない人生を四苦八苦に翻弄されながら生きているのが今の私たちですが、今の姿が在るべき本来の姿では決してありません。

人間とは、本来もっと豊かで尊い存在なのです。にも拘らず、今のような四苦八苦の人生を生きなければならなくなったのには、原因があります。

ご承知のように、この世に幸せを願わない人は一人もいません。ところが、万人が幸せを願っているにも拘らず、世の中を見れば、不幸に泣いている人が大勢います。

誰もが幸せを願っているのに何故幸せになれないのか?

先日、地元の老人クラブの皆さんに法話をさせて頂いた時、次のような質問をしました。

「皆さんは、地獄と極楽と、どちらへ往きたいですか?」

こう尋ねたところ、全員の方から、「極楽へ往きたいです」という答えが返ってきました。「地獄へ行きたい」と答える天邪鬼な人が一人や二人くらいは居るのではないかと期待したのですが、期待は見事に裏切られました。

どんな質問をしても、普通は必ず異なる意見が出てきて、賛成と反対に分かれるものですが、この質問に限っては、全員の方から「極楽へ往きたい」という答えが返ってきたのです。

誰に尋ねても、返ってくる答えはいつも同じです。

不思議と言えば不思議ですが、実はこの答えの中に、私たちの正体を知る手がかりが隠されているのです。


帰巣本能が教える自己の正体


皆さんは、「帰巣本能」という言葉をご存じでしょうか?

帰巣本能とは、自分が生まれた巣(故郷)に帰ろうとする本能ですが、この帰巣本能を利用して、電話やインターネットがなかった時代に、有力な通信手段の一つとして活用されたのが、伝書鳩です。

伝書鳩は、どんなに遠くから放しても、必ず自分の巣に戻ってくるという帰巣本能を具えているため、通信手段として大いに活躍したのですが、「地獄と極楽のどちらへ往きたいですか?」という質問に全員が極楽と答えるのは、この帰巣本能が働いているからです。

もし地獄が帰るべき生まれ故郷なら、帰巣本能が働いて、全員が地獄に行きたいと答える筈ですが、地獄へ行きたいと答える人が一人もいないのは、地獄が生まれ故郷(帰るべき巣)ではないからです。

アリクイと言う動物がいますが、このアリクイは、名前の通り、蟻を食べて生きています。もしこの世に蟻が一匹もいなければ、アリクイは生きていけません。

ですから、蟻を食べたいと言う本能を与えられたアリクイがこの世に生まれて来る為には、同時に、蟻と言う生物がこの地上に生存していなければなりません。

蟻を食べたいという本能を与えられながら、求める蟻が存在しない世界に、アリクイが生まれてくる事はあり得ません。

それと同じように、私たちに帰るべき巣(極楽)が用意されていなければ、「極楽へ往きたい」という帰巣本能が与えられる事は絶対にありません。それでは、人間はただ苦しむ存在としてしか生きて行く事が出来なくなるからです。

私たち全員に、極楽へ往きたいと願う心(帰巣本能)が与えられているのは、既に極楽という巣(故郷)が用意されているからであり、地獄へ行きたいと願う心を持つ人が一人もいないのは、地獄などという巣は、どこにも存在しないからです。


極楽を故郷とする仏の子


もうお分かりのように、私たちには、二つの故郷があります。一つは肉身の故郷、もう一つは、極楽と名付けられた魂の故郷です。

肉身の故郷は、母親のお腹を借りて、この世に産声を上げたところですから、百人いれば百ヵ所の故郷があります。

しかし、魂の故郷は、過去世、現在世、未来世を通じて、誰もが帰るべき唯一無二の故郷ですから、一つしかありません。

肉身の故郷は、人間として生きている間の仮の故郷に過ぎませんが、魂の故郷である極楽は、魂が帰るべき悠久の故郷ですから、消えて無くなることもありません。

お大師様が、
  阿字の子が 阿字のふるさと立ち出でて
    また立ちかえる 阿字のふるさと

 と詠っておられる「阿字のふるさと」も、菩薩様が、
  生れ出た ふるさと今はなけれども
    高野山(たかの)の奥こそ われがふるさと
  肉身の 生まれし故郷はなけれども
    わが魂は 高野山(たかの)の奥に

 と詠っておられる「高野山の奥」も、私たちの帰るべき魂の故郷(極楽)を現しています。

涅槃経に、「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)」(すべての衆生は悉く仏性を有している)と説かれている事からも明らかなように、私たちの真の姿(本性)が、地獄を故郷とする悪魔の子ではなく、極楽を故郷とする仏の子(阿字の子)である事は、もはや疑う余地がありません。

合掌


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